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劇場演劇の再開について(7/23 芸術監督声明文)

2020年07月23日


各種報道によれば、新型コロナウイルスの感染拡大が続いているようですが、本日、7月23日から私たち北海道演劇財団が主催する公演、札幌演劇シーズン2020-夏キッズプログラム、劇のたまご「ぐりぐりグリム~長靴をはいた猫」でお客様を劇場に招いての演劇公演を再開することといたしました。今年2月28日に札幌文化芸術劇場hitaruクリエイティブスタジオで公演していたAll Sapporo Professional Actors Selection Vol.1「虹と雪、慟哭のカッコウ」の上演中止以来、5か月ぶりお客様をお招きして劇場演劇を再開いたします。

あの5か月前の公演中止後、4月中旬から5月末までは完全に劇場を閉じ、関係者の行動を抑制し注意深く過ごし続け、6月1日から劇場のスタジオ部門を再開し、慎重に稽古を開始しておりました。施設内全てのリスク評価を行い、換気設備を増設し、すべての俳優・スタッフの靴底消毒・手指消毒・うがい・検温・場内消毒を徹底し、7月7日には、さっぽろアートライブの無料配信に向けた無観客上演劇「今は逢えない~七夕の憂哀歌」の収録を行い、7月20日から無料配信も始めました。→ YouTube(https://youtu.be/KKsv6l6UvB4)

現在、東京や大阪などの都市部での感染拡大が見られ、北海道でも感染は終息していません。一時は終息に向かったかに思われた時期もありましたが、やはり専門家の分析通り、様々な規制が解除されれば再び感染が広まることは明らかなようです。

劇場演劇が、北海道の市民生活にとって欠くことのできない社会インフラの一つであるという認識のもと、私たちは演劇の公益法人としてその役割を果たすべく、この間様々な取り組みを実践してまいりました。コロナ禍における演劇の在り方を様々な側面から検証し、関係者と観客の皆様の感染リスクをいかに極限まで低減させて劇場演劇を再開するかを検討し続けた5か月間でした。あらゆるライブエンターテイメントが自粛を迫られる中、小さな劇場演劇だからこそ突破できる道筋がないかと、探り続けて参りました。様々な機関から発表される「ガイドライン」をベースに、それらを北海道の小劇場演劇に翻訳し、私たちの劇場施設に当てはめ、検証を続けて参りました。
東京の小劇場での集団感染の報道には、すべての努力が挫かれそうな想いもしましたが、劇場に出入りし濃厚接触せざるを得ない関係者の体調管理と行動抑制の重要性を思い知ることが出来、すべてのスタッフ・出演者の劇場・稽古場以外における行動把握と朝・昼・晩の検温・体調報告を義務付け、それを怠った関係者の施設への出入りと作品参加を禁じることとしました。

こうして本日、考え得る限りの対策を講じた上で、劇場にお客様をお迎えすることといたします。観客の皆様には、これまで以上のお願いをし、ご協力を頂かなければなりません。何卒ご理解くださり、決して無理をなさらずに劇場にお越しになり、ご協力をお願いいたします。
昨夜、上演状況をチェックしにいらした演劇シーズンの関係者数名のみが客席に座る劇場で、最終リハーサルを行いました。お客様が客席にいらっしゃる状態で、久しぶりに演じる俳優とお客さんを客席後方から眺めていました。すると、いくつかの場面でお客様と俳優たち、舞台と客席の3m以上の距離を空けた双方の間に、無言のやり取りが発生したのです。それを受けた俳優たちの驚いた顔とその反応、そしてお客様たちの笑顔を見て、やはり、生の演劇でしか得られないものが劇場にはあることを再確認し、5か月ぶりの出来事に感激しました。
私たちは、本日より劇場で皆様をお待ちしています。

ぜひ私共の感染症対策(http://www.h-paf.ne.jp/zoo/wp-content/uploads/2015/04/200623audience.pdf)をお読みの上、マスクをご着用の上でご来場ください。数々のご協力を頂きながら、劇場にお入りいただき、座席数を限定し席と席の間を空けて換気扇を回しっ放しで上演します。

劇場で感染者が発生した場合、私たちは潔く敗北を認め、私たちの対策の実施状況の全てを公開し、私たちの対策の不備を検証していただき、我が国の演劇界の更なる挑戦に活かしていただければと考えています。

2020年7月23日
公益財団法人 北海道演劇財団
芸術監督 斎藤 歩


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